生前贈与は、贈与税に注意!!

父又は母が高齢なので、生前に不動産を子に贈与した方が良いのでは?という相談をよく受けます。ただ、生前贈与というのは、何らかの贈与税の控除を使わない限り、贈与税が多額にかかることが多いので、何らかの理由がない限りは得策でないことも多く、何も考えずなんとなく生前贈与した方が良いのではということで相談された方は、それならやめておく、というケースも少なくないです。

 

何も理由がなければ、基本的に生前贈与ではなく相続で処理した方が、何かと費用が安く済むことが多いです。相続なら、贈与税はかかりませんし(ただし、遺産が多額の場合は相続税がかかる可能性は有り)、不動産取得税もかかりません。また、所有権移転の登記にかかる登録免許税も贈与を原因とすると、相続を原因とした場合の5倍もかかります。税務上の申告に税理士等にお願いするとそれもまた費用がかかります。

 

それでも、生前贈与したいというケースは、いろいろ理由はありますが、私の経験上、次の2パターンが多いように思われます。1つは、このまま相続が発生してしまったら、相続人の中に絶対にハンコを押してくれない人がおり、遺産分割協議がまとまらないであろうという状況化にありながら、でもこの不動産だけはある特定の相続人に渡したい、という強い要望がある場合、そして2つ目は、相続税対策のため、遺産を減らしておきたい、という場合です。他にも、所有者が認知症になる前に不動産を処分したい、とか、なんとなく自分の財産を減らして終活したい、なんて理由の方もおりましたが、多くはこの2パターンかな、と思います。

 

贈与税を計算したら何百万円も、又は1千万円を超える、なんてケースもありますが、相続時精算課税制度(60歳以上の親や祖父、祖母から成人した子や孫に贈与)が使えるケースや、配偶者控除の特例(20年以上婚姻関係にある夫婦間の贈与)が使えるケースでは、実質贈与税がゼロになることもあるので、こういった控除を使うことを前提に贈与するケースが多いです。ただ、控除を使えないケースでは贈与税等多額の費用がかかるので慎重に判断することが必要だと思います。